台湾人との国際結婚手続きの流れ
台湾人と日本人の国際結婚手続き
この記事は行政書士西田直之が実際に台湾に行って結婚手続きに関する各公署に立ち寄って手続き方法を調べた体験をもとに作成しました。
台湾人と日本人の結婚手続きは先に台湾からする方法(台湾方式)と先に日本からする方法(日本方式)があります。先に一方の国に結婚手続きをした後に、もう一方の国へ結婚の報告をすることで国際結婚の手続きが完了します。
どちらから先に結婚手続きを始めるかはご自身で選ぶことができます。
台湾人と結婚して日本に住む場合は婚姻成立後に在留資格に関する手続きを要します。
先に台湾から結婚手続きをする(台湾方式)
手続きの流れ
- 日本の戸籍謄本を取得
- 日本台湾交流協会で「婚姻要件具備証明書」を取得
- 外交部領事事務局で「婚姻要件具備証明書」を認証する
- 戸政事務所で結婚届を提出
- 戸政事務所で「結婚証明書」「戸籍謄本」を取得
- 日本の市区町村役場に結婚の報告をする
※日本にある「台北駐日経済文化代表処」で日本人の戸籍謄本とその中文訳の認証を受けた場合には❷❸を省略することができます。
先に日本から結婚手続きをする(日本方式)
手続きの流れ
- 台湾の戸籍謄本を取得
- 台北駐日経済文化代表処で「婚姻要件具備証明書」を取得
- 市区町村役場で婚姻届を提出
- 市区町村役場で「戸籍謄本」を取得
- 台北駐日経済文化代表処に結婚の報告をする
お2人が揃って台湾に居住している場合 | 先に台湾で結婚手続きをするほうが効率的 |
お2人が揃って日本に居住している場合 | 先に日本で結婚手続きをするほうが効率的 |
台湾人と日本人がそれぞれ自国に居住している場合 | どちらから先に結婚手続きをするほうが効率的かは状況によります |
台湾と日本の婚姻に関する法律比較
台湾人 | 日本人 | |
婚姻適齢 | 男女とも18歳以上 (台湾民法第980条) | 男女とも18歳以上 (日本国民法第731条) |
再婚禁止期間 | 無し | 無し |
※2024年4月1日現在の情報です。
先に台湾で結婚手続きをする(台湾方式)
先に台湾で結婚手続きをする場合には日本人が台湾に行くことを要します。手続きの流れは以下です。
❶日本の戸籍謄本を取得
日本の市区町村役場にて戸籍謄本を取得する。中国語への翻訳は不要です。戸籍謄本を取得したら台湾に渡航します。
❷日本台湾交流協会で「婚姻要件具備証明書」を取得
日本台湾交流協会で「婚姻要件具備証明書」を取得します。日本台湾交流協会は台北もしくは高雄にあります。今回は台北事務所に行ってきました。日本語が通じますので日本人単独でも手続きがスムーズに行うことができます。
- 入場したら入口の係員に要件を告げる
- 番号札を貰って呼ばれるのを待つ
- 呼ばれたら窓口にて申請する
上の画像2枚の書類に記入し、「證明申請書」に印鑑を押して交付されます。問題が無ければ即日交付可能です。
必要書類(日本人)
・パスポート
・戸籍謄本(3ヶ月以内のもの)
➌外交部領事事務局で「婚姻要件具備証明書」を認証する
外交部領事事務局は台北に本部が有り、その他台湾各地に事務所が設置されています。日本語はほぼ通じませんので中国語ができる方と一緒に行くことを推奨します。写真は私が実際に台北本部に行った際の写真です。
台北支局本部の場合
庁舎内は窓口が多いうえに混雑していますが、まずは「文件證明」の窓口がある3階に上ります。
「文件證明」の窓口付近に申請書の記入台がありますのでそこに設置されている申請書に記入します。記入台には記入例も設置されていますが書き方がわからない部分は空欄のままで大丈夫です。後に窓口で教えてもらうことができます。
「文件證明」窓口付近に設置されている発券機で番号を取ってしばらく待ちます。
番号が呼ばれたら窓口に行ってください。何の証明か聞かれたら中国語で「台湾で結婚する為の独身宣誓」と告げてください。書き方がわからない部分も記入してもらうことができます。
証明書受取りまで2日程度かかります。これで「婚姻要件具備証明書」を次の戸政府事務所に提出する準備が整いました。
➍戸政事務所に婚姻届けを提出
台湾での結婚手続き(結婚登記)は戸政事務所で行います。戸政事務所は日本の市区町村役場のような機関です。戸政事務所の窓口で結婚手続きをしたい旨を告げましょう。すると下記の用紙を渡されます。結婚書約には証人の署名が必要ですので一旦持ち帰って記入することになります。写真は台北中正区戸政事務所に行った時のものです。
- 結婚書約
- 聲明書
- パスポート
- 婚姻要件具備証明書
- IDカード
必要書類は事前に戸政事務所にお問い合わせ下さい。
➎戸政事務所で「結婚証明書」「戸籍謄本」を取得
結婚手続き完了後に「戸籍謄本」と「結婚証明書」を取得します。「戸籍謄本」と「結婚証明書」は結婚手続き後すぐに発行可能です。これで台湾側の手続きは完了です。
日本に帰国し、報告的届出をするために必要な台湾から持って帰る書類を確認しておきましょう。
- 結婚証明書
- 台湾の戸籍
- 台湾人のパスポートコピー
➏日本の市区町村役場に結婚の報告
台湾での婚姻成立から3ヶ月以内に日本の市区町村役場に婚姻の届出をします。
役場に直接提出する方法の他、郵送も可能です。
必要書類(日本人)
・身分証
・日本人の戸籍謄本(本籍地以外の役所に届出する場合のみ必要)
必要書類(台湾人)
・パスポート
・結婚証明書+日本語訳文
・台湾の戸籍謄本(結婚の事実が記載されたもの)+日本語訳文
必要書類は事前に提出先市区町村役場にお問い合わせ下さい。
以上で台湾人と日本人の国際結婚手続き(台湾方式)が完了です。日本に住む場合は在留資格に関する手続きを要します。
日本人の戸籍謄本を台北駐日経済文化代表処で認証する方法
台湾で先に結婚手続きをする際に「婚姻要件具備証明書」が必要となりますが、この「婚姻要件具備証明書」は日本と台湾のどちら側でも用意することができます。日本側で用意する方法について解説します。
- 市区町村役場で戸籍謄本を取得する
- 台湾の戸籍謄本を日本語に翻訳する
- 台北駐日経済文化代表処で認証する
日本で先に結婚手続きをする(日本方式)
先に日本で手続きをする際の流れは以下です。
➊婚姻要件具備証明書(独身証明書)を取得する
台北駐日経済文化代表処で台湾人婚約者の「婚姻要件具備証明書」を取得します。
台北駐日経済文化代表処は大使館の役割を果たしています。
台北駐日経済文化代表処のサイト
必要書類
・台湾の戸籍謄本 【原本およびコピー1部(内容の省略がなく、3か月以内に発行されたもの)】
・台湾人のパスポート 【原本およびコピー1部】
・申請費用 2000円/部
台湾人の方が日本で先に婚姻手続きをする場合には度々台湾の戸籍謄本が必要になりますので、予備を含めて4通取得しておくと間違いないです。
➋台湾の戸籍謄本を日本語に翻訳する
台湾の戸籍謄本は中国語で発行されますので日本語への翻訳が必要となります。また翻訳文には翻訳者の住所と署名を要します。例:上記は原文の正訳に相違ありません。訳者の住所・氏名
❸市区町村役場で婚姻の届出
婚姻届が受理されると日本側の結婚手続きは完了です。
市区町村によって必要書類が異なる場合がありますので事前にご確認ください。
必要書類
・台湾人のパスポート
・台湾人の婚姻要件具備証明書(独身証明書) ※1
・日本人の戸籍謄本【本籍地が婚姻を届出する役所外の市区町村である場合は不要】
※1 提出先の市区町村役場によっては台湾の結婚要件具備証明書を用意しなくても、台湾の戸籍謄本と日本語訳だけで結婚届が受理されます。その際は①の結婚要件具備証明書取得手続きは不要です。
❹台北駐日経済文化代表処に結婚の報告
台湾人の必要書類
・パスポート原本とコピー3部
・台湾の戸籍謄本
・印鑑(フルネームのもの)
日本人の必要書類
・パスポート原本とコピー3部
・日本の戸籍謄本(結婚の記載のあるもの)
※中国語訳文が必要です
※台北駐日経済文化代表処の管轄する市町村で取得したものは管轄の駐日辦事處での認証が必要です
・印鑑(フルネームのもの)
・取用中文姓名聲明書
台北駐日経済文化代表処に結婚の報告をすると、台北駐日経済文化代表処から台湾の戸政事務所に転送されます。
台湾側に結婚の報告をしてから結婚の登記が完了するまでに1ヶ月程度かかります。
以上で台湾人と日本人の国際結婚手続き(日本方式)が完了です。日本に住む場合は在留資格に関する手続きを要します。
結婚後日本に住む際は配偶者ビザを取得することができます
国際結婚手続きを完了させただけでは外国人は日本に中長期的に住むことができません。台湾人と結婚し、日本で一緒に住む場合には配偶者ビザを取得することができます。配偶者ビザを取得する手続きは台湾人の方が現在台湾に住んでいるか、日本に住んでいるのかで手続き方法が異なります。
結婚手続きの為に短期滞在で来日してそのまま配偶者ビザに変更できる?
結婚手続きの為に台湾から短期滞在ビザ(ノービザ90日)で来日してそのまま配偶者ビザへの変更をすることは原則することができません。しかし、やむを得ない事情がある場合には申請が受理されることがあります。この場合にはより計画的に手続きをすすめる必要がありますので行政書士と相談されることをおすすめします。
日本に住むための配偶者ビザの申請
上述のとおり台湾人配偶者が日本で中長期在留資格(ビザ)を取得していない場合には婚姻が成立していたとしても日本に住むことができませんのでビザの手続きが必要になります。
配偶者ビザは日本人と結婚しているだけで簡単に取得できるというわけではなく、生活の安定性や結婚の信ぴょう性などを厳しく審査されます。せっかく結婚したのに日本で一緒に住むことができない。といった状況も考えられますので慎重に準備を整えてから入管への申請に臨まなければいけません。
配偶者ビザが不許可になりやすいケース
・夫婦の年齢差が大きい(15歳以上離れている)
・SNSや出会い系サイトで知り合った
・結婚紹介所等の業者を介して知り合った
・日本人配偶者の収入が低い
・日本人配偶者が外国人と離婚を繰り返している
・外国人配偶者が日本人との離婚を繰り返している
・水商売系のお店で知り合った
・交際期間が短い(3ヶ月以内)
・実際に合った回数が極端に少ない
・不倫状態から交際が開始した場合
こういった事情がある場合には配偶者ビザが不許可になる可能性が高くなります。
ご夫婦が日本で住むだけの生計維持能力(経済力)が安定していることや、真実の結婚であることを証明しなくてはいけません。
当行政書士事務所ができること
ここまで台湾人と日本人の国際結婚手続きから配偶者ビザの申請までの流れについて解説してきました。
国際結婚って思ったよりも大変だとお感じになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。結婚手続きが完了し、ご夫婦で日本に住むためには出入国在留管理局への申請が待っています。
当行政書士事務所では台湾人と日本人の国際結婚手続きから配偶者ビザの申請までサポートを行ってます。
また配偶者ビザの申請で上記のような難易度の高い案件やご自身で配偶者ビザの申請をされたが、不許可になってしまった案件にも対応しております。
難易度の高い案件では入管のサイトに載っている書類を揃えて申請するだけでは許可を得ることが難しいこともあります。
当事務所では結婚の信ぴょう性や生活の安定性を入管に説明する為にお客様の状況に合わせて作成いたしますので、お客様が書類の作成方法で迷うことなく、配偶者ビザの許可を得るまでサポートいたします。