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【行政書士が解説】帰化とは

帰化とは何か行政書士が徹底解説します。

目次

帰化申請と行政書士

行政書士はお客様に代わって書類を作成したり、官公庁への許認可申請を業務としています。
また外国人が日本に在留する為のビザに関する手続きも行います。
そして帰化申請のサポートを行うことも行政書士の一つです。
当行政書士事務所ではお客様が帰化申請の要件をクリアしているかどうか、帰化申請に関するアドバイス。
お客様に代わって帰化申請に必要な書類の収集・作成、法務局への同行のサポートを行ってます。

帰化とは

帰化とは外国人が日本国籍を取得することをいいます。帰化をするとその外国人は母国の国籍を喪失します。
そして日本国籍を取得すると日本人と同じ権利を行使することができるようになります。
また一方で帰化と似ている「永住者」ビザがあります。「永住者」ビザはビザの更新が必要なくなりますので他の在留資格よりは日本に定着しやすくなりますが、国籍は外国のままであるので日本人と同じ権利を行使することはできません。
また帰化申請の許可率が75%~90%で「永住者」ビザの許可率は50%~60%となっています。
これは帰化の方が審査が緩やかということではなく、帰化申請は事前に法務局への相談が必要になります、その相談の中で帰化申請が許可される見込みがない案件は指摘されますので申請するまでには至らないことや、帰化申請は受理されたが、審査の途中で法務局から帰化申請を取下げるように案内されたなどといったことが原因で高い許可率となってます。

【比較】帰化と永住の違い

帰化永住者
国籍日本国籍取得これまでどおりの外国籍
選挙権・被選挙権無(一部自治体を除きます)
在留の為の諸手続不要・要 再入国許可
・要 在留カードの更新
戸籍取得する取得できない
退去強制
パスポート日本のパスポート外国のパスポート
公務員なれる一部を除きなれない

帰化のメリットとデメリット

帰化のメリット帰化のデメリット
・日本名が持てる
・日本の社会保障が受けられる
・公務員になることができる
・選挙権・被選挙権有り
・金融機関のローンが受けられる(永住者も可能な場合が多い)
・戸籍を取得して夫婦が同一籍になる
・日本のパスポートを取得できる
・母国の国籍を失う
・再び元の外国籍に戻りたい場合は手続きが面倒
・元の国籍地に行くのにもビザ「査証」が必要

帰化の種類

帰化は国籍法で「普通帰化」「簡易帰化」「大帰化」が規定されています。
これら各帰化はそれぞれ要件に違いがあります。

普通帰化の要件

普通帰化は日本人若しくは特別永住者と結婚している外国人を除いた外国人が対象です。すなわち独身の外国人や外国人同士が結婚している場合です。

普通帰化の要件

①【住居要件】引き続き5年以上日本に住所を有すること
②【能力要件】18歳以上で本国法によって行為能力を有すること
③【素行要件】年金を支払っており、犯罪歴や税金の滞納などなく、素行が善良である
④【生計要件】安定収入があり生計が成り立っている
⑤【喪失要件】無国籍または母国籍の喪失が必要
⑥【思想要件】日本を破壊するような思想がないこと
⑦【日本語能力要件】日本語の能力に問題がないこと

【詳しく】普通帰化①住居要件

引き続き5年以上日本に住所を有すること

「引き続き」とは、日本に継続して5年間住んでいることが必要になります。
具体的にはAさんは最初の3年は日本で住んでいたけど、その後出国し、1年間は海外で暮らした後にまた日本に戻って2年間住んでいたという場合、「引き続き」にはなりません。
つまり、出国した時点で継続がリセットされて、次に日本に戻った時からまたカウントが始まります。Aさんが帰化の住居要件を満たすには日本に戻ってきてから2年間また継続して住んでいたので、あと3年継続して日本で住む必要があります。
では、1度でも出国をすると帰化の住居条件がリセットされるのでしょうか?そういうわけではありません。明確な基準がある訳ではありませんが、1回の出国に3ヶ月以上出国した場合に、帰化の審査では継続が中断されたと判断されることが多いです。
また1回の出国期間が3ヶ月以内であっても出国を繰り返している場合は注意が必要です。短期の出国を繰り返した結果、1年間の合計出国期間が100日以上程になった場合にも帰化の審査では継続が中断されたと判断される可能性が高いです。例えば、2か月程度(60日)の出国を1年間で2回した場合には年間120日の出国となりますので帰化の住居条件を満たさないと判断されることになります。

5年のうち3年は就労している必要があります

帰化の住居条件でもう一つ重要なのが就労期間です。5年のうち3年間は日本で就労していることが必要となります。
またアルバイトでは認められず、正社員(派遣社員可)として3年間働いていることが必要です。また適法に就労していることが必要ですので、何らかの就労ビザをもって働いていることが必要です。
つまり、たとえ5年間引き続き日本に住んでいたとしても留学ビザでアルバイトをしながら5年間日本で住んでいるような場合は住居条件を満たしません。

就労期間の例外

ただ、就労期間について例外ひとつあります。日本に継続して10年以上住んでいれば、就労期間が3年未満であっても1年以上あれば帰化の住居条件を満たします。つまり就労期間が1年以上あれば良いということになります。

【詳しく】普通帰化②能力要件

18歳以上

国籍法には18歳以上ということが明記されてます。つまり単独で帰化するには基本的には18歳以上である必要があります。ただ、親と同時に帰化申請をする場合には18歳未満であっても申請が可能です。

行為能力を有すること

行為能力とは民法でいう単独で有効な法律行為をすることができる能力です。たとえば未成年者は行為能力を有さないので単独で帰化をすることができません。
また知的障害がある場合については絶対に帰化できないというわけではありませんが、ハードルはあがります。その障害の程度など個々のケースにより帰化ができる可能性がありますので、専門家にご相談されることをおすすまします。

本国法により

帰化申請人の本国においても行為能力を有することが必要です。
例えば帰化申請者が18歳であったとしても本国では20歳が成人年齢と定められている場合は帰化をすることができません。またアメリカは州によっても成人年齢が異なりますので注意が必要です。

【詳しく】普通帰化③素行要件

納税

税金をきちんと支払っていることが必要です。会社員の方は住民税については給料から天引きの場合とそうでない場合があります。会社から天引きされている場合は問題ありませんが、そうでない場合はご自身で申告をして納税をしていることが必要になります。
また経営者の場合は経営者個人の税金に加えて、経営する会社の納税義務も果たしていなければなりません。
税の支払いに滞納がある場合は帰化申請をする前にすべて支払をし、税の申告に誤りがあった場合は修正申告をして税金を支払った後に帰化申請をすることで問題になりません。

年金

給与所得者で厚生年金の方で給料から天引きされている場合は問題ありませんが。そうでない場合は自己で年金を支払う必要があります。
もしも年金を支払っていなかったという場合は直近1年分の年金を支払ってその領収書を添付することで帰化の要件をクリアできます。
また厚生年金が適用される事業所の事業主は厚生年金に加入していなければなりません。

犯罪・交通違反

交通違反については軽い違反であれば過去5年間に5回以内であれば問題ありません。軽い違反というのは駐車違反などのいわゆる青切符といわれる違反です。
赤切符と呼ばれる重い交通違反である場合は相当期間が経過するまでは帰化はできません。
また、前科がある場合にも素行要件に抵触します。
またこれらの前科や違反履歴を隠して帰化申請をすると更に不利益となりますので絶対にしてはいけません。

【詳しく】普通帰化④生計要件

帰化には毎月の安定した収入が必要

税帰化申請の生計要件では同居家族全体を勘案して判断されます。たとえば父母と子供2人の合計4人で同居する家族である場合、父母が働いている場合は父と母の収入の合計で家族4人の生計が成り立っているかを審査されます。
収入は明確な規定はありませんが毎月の手取りが18万円以上あれば良いです。また扶養者があるときは+いくらの収入が必要という明確な数字はわかりませんが扶養者を含めた収支のバランスがとれていて生計が成り立っていることが必要です。また帰化申請では預金通帳の預金額よりも毎月の安定した収入が重要視されます。

【詳しく】普通帰化⑤喪失要件

無国籍であるかまたは国籍の喪失が必要

日本では2重国籍は認められていません。なので帰化をしたら母国の国籍を失うことができることを要件としてます。国により国籍の離脱ができない場合がありますので注意が必要です。

【詳しく】普通帰化⑥思想要件

憲法遵守

反社会組織や政府を暴力で破壊することを主張したり、企てたりする者。もしくはそのような団体を結成したり、その構成員である場合は帰化できません。またご自身だけでなく親族の中にそのような方がいらっしゃる場合にも帰化申請の審査に影響します。

【詳しく】普通帰化⑦日本語能力要件

帰化には日本語能力が必要とされます

帰化申請では日本語能力が必要とされます。
帰化申請が受理されるまでの法務局での面談でも担当官は帰化申請者の日本語能力を確認しています。もし日本語能力が著しく不足している場合は、日本語ができるようになってからの帰化をすすめられる場合もあります。
また、帰化申請が受理された後の面談では日本語能力のテストが行われる場合もあります。申請受理前の面談で日本語能力が十分であると判断された場合は日本語能力テストは省略される場合があります。
帰化申請に必要とされる日本語能力はそれほど高いレベルを求められるわけではなく、日本語能力試験N3程度(小学3~4年程度であれば問題ありません。

簡易帰化の要件

簡易帰化とは日本人の配偶者や子等で一定の条件を満たす場合に「普通帰化」よりも帰化の条件が緩和又は免除されることをいいいます。

住居要件が緩和される場合

①日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者(国籍法6条1号)
②日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者(国籍法6条2号)
③日本で生まれた者でその父若しくは母(養子を除く)が日本で生まれたもの(国籍法6条2号)
④引き続き10年以上日本に居所を有する者(国籍法6条3号)

住居要件・能力要件が緩和される場合

①日本国民の配偶者である外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者(国籍法7条)
②日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ引き続き1年以上日本に住所を有する者(国籍法7条)

住居要件・能力要件・生計要件が緩和される場合

①日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する者(国籍法8条1号)
②日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であった者(国籍法8条2号)
③日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有する者(国籍法8条3号)

④日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有する者(国籍法8条4号)

大帰化

日本に特別の功労のある外国人は国会の承認を得て帰化を許可することができる(国籍法9条)

帰化申請許可までの時間とスケジュール

①法務局に予約を取る
②法務局で相談・必要書類の説明を受ける
③必要書類の収集
④法務局に予約を取る
⑤法務局で書類の事前確認を受ける   ※ここで書類に不備が有れば再度予約して法務局に確認してもらうことになります。
⑥法務局に帰化許可申請を受理してもらう
⑦面接日時の連絡がある(申請受理日から2~3ヶ月経過後)
⑧面接を受ける
⑨審査
⑩許可(帰化許可申請受付からおおむね10か月~1年かかります)

帰化許可申請に必要な書類

帰化許可申請に必要な書類は、申請人の国籍等の状況によりそれぞれ異なります。帰化申請に必要な書類には、自分で作成する書類は官公庁や本国から取得する書類等があります。ここでは帰化許可申請に必要な書類についてご紹介します。

帰化申請の必要書類

申請人が作成する書類 ・履歴書その1
・履歴書その2
・親族の概要書
・帰化許可申請書
・生計の概要その1
・生計の概要その2
・帰化の動機書 ※特別永住者の方は不要
・居宅附近の略図等
・勤務先の略図等
市役所から取得 ・住民票
・住民票の除票(2012年7月以降に引越した方はその沿革がわかる全て)
・住民税の納税証明書 直近1年分 ※同居の家族全員分が必要
・住民税の課税証明書 直近1年分 ※子供を除いた同居の家族全員分が必要
本人、配偶者が非課税の場合 ・非課税証明書
配偶者又は婚約者、子が日本人の場合

・戸籍謄本
・除籍謄本
・戸籍の附票

両親の1方が日本人の場合

戸籍謄本

両親、兄弟姉妹の中で帰化した者がいる場合 ・戸籍謄本(帰化した記載有りのもの)
本人、兄弟姉妹が日本で生まれている場合 ・出生届の記載事項証明書

両親が外国人であって、日本で結婚している場合

・結婚届の記載事項証明書
本人に外国籍の方との離婚歴がある場合(海外で離婚の届出をした場合は不要です) ・離婚届の記載事項証明書
本人に日本人との離婚歴がある場合 ・戸籍謄本(元配偶者のもの)
外国籍同士の両親が離婚したことがある場合(海外で離婚の届出をした場合は不要です) ・離婚届の記載事項証明書
日本人と外国籍の両親が離婚したことがある場合 ・戸籍謄本(日本人のもの)
両親、配偶者、子が日本で死亡している場合 ・死亡届の記載事項証明書
法務局から取得 土地、建物を所有している場合 ・土地又は建物の登記事項証明書
会社を経営している場合 ・法人の登記事項証明書
税務署・都道府県税事務所・市税事務所・年金事務所等から取得

会社員で2カ所以上の勤務先から給与を貰っている方や副業、不動産投資をしている場合 ・所得税納税証明書(その1、その2)
厚生年金に加入していない場合で国民年金を支払っている方 ※下記いずれか1つ
・年金保険領収書のコピー(1年分)
・ねんきん定期便
・国民年金保険料納付確認(申請)書
会社経営者の場合 ・法人税納税証明書(その1、その2)直近3年分
・消費税納税証明書(課税事業者のみ)直近3年分
・事業税納税証明書(課税事業者のみ)直近3年分
・都県市民税納税証明書(1年分)
・経営者個人の所得税納税証明書
・厚生年金保険料領収証のコピー(厚生年金に加入していなかった場合は加入をしたうえで「厚生年金加入届の控えのコピー」を添付)
個人事業主の場合 ・所得税納税証明書(その1、その2)
・消費税納税証明書(課税事業者のみ)直近3年分
・事業税納税証明書(課税事業者のみ)直近3年分
勤務先から取得する ・源泉徴収票の原本(直近一年分)
・在職及び給与証明書(個人事業主、法人経営者は自己証明で必要です)
自動車安全運転センターから取得

運転免許証を持っている場合

・運転記録証明書

運転免許を失効、又は取消されたことがある場合

・運転免許経歴証明書

コピー原本還付する書類

・在留カード(表・裏)
・最終学歴の卒業証明書
・運転免許証
・パスポート及び失効したパスポート(表紙、顔写真、印のあるページ全て必要です)

 

医師、教員、司法書士、弁護士など公的資格を有する場合

・資格証明書

 

賃貸物件に住んでいる場合

・不動産賃貸借契約書

 

2か所以上から給与をもらっている場合や、確定申告をしている給与所得者

・確定申告書(受付印があるもの。電子申請の場合はメール詳細を添付します)

 

会社経営者・自営業者

・法人の確定申告書(受付印があるもの。電子申請の場合はメール詳細を添付します)
・役員又は個人事業主の確定申告書(受付印があるもの。電子申請の場合はメール詳細を添付します)
・営業許可証
・源泉所得税の納付書(直近1年分)
・本人の源泉徴収簿
・修正申告書控え(修正申告をいた場合のみ必要です)

本国から取得する書類

韓国籍の方

申請者本人の
・基本証明書
・家族関係証明書
・婚姻関係証明書
・入養関係証明書
・親養子入養関係証明書
・除籍謄本
父の
・家族関係証明書
母の
・家族関係証明書
父か母いずれか1方の
・婚姻関係証明書

中国籍の方

 

・出生公証書(日本生まれの場合は取得できません)
・出生届の記載事項証明書(日本生まれの場合のみ)
・親族関係公証書(日本生まれの場合は華僑総会で取得します)
・結婚公証書(本人が結婚している場合のみ)
・離婚公証書(本人が離婚している場合のみ)
・養子公証書(養子縁組している場合のみ)
両親の
・結婚公証書
・離婚公証書(両親が離婚している場合)
・死亡公証書親(親や子供が死亡している場合

 

・退出中華人民共和国国籍証明(国籍証明)

韓国では2008年1月1日より、「戸籍簿」が「家族関係登録簿」に、「戸籍謄本」が5種類の「家族関係記録事項証明書」に、また「本籍」が「登録基準地」へと変更される法律が施行されています。

韓国籍の方は以下の5種類の証明書のうち、出生地・父母の婚姻時から現在までの兄弟姉妹を含む身分関係、申請者の本国での結婚・離婚等の履歴がわかる証明書を取得します。

  • 基本証明書・・・国籍証明書に該当。本人の出生・死亡・親権・改名・国籍回復等が記載されています。
  • 婚姻関係証明書・・・婚姻歴の有無を証明するためのもの。配偶者の人的事項及び婚姻・離婚に関する事項が記載されています。
  • 家族関係証明書・・・=親子関係や兄弟姉妹関係を証明するためのもの。本人・父母・配偶者・子どもが記載されています。
  • 入養関係証明書・・・養父母又は養子の人的事項及び縁組・離縁について記載されています。
  • 親養子入養関係証明書・・・実父母・養父母又は養子の人的事項、離縁等について記載されています。

中国籍の方の書類

中国では戸籍制度がありません。中国籍の方は以下の証明書(公証書)のうち、出生地・父母の婚姻時から現在までの兄弟姉妹を含む身分関係、申請者の本国での結婚・離婚等の履歴がわかる証明書を取得します。

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