【子がいない方の】配偶者ビザから定住者へ変更

配偶者ビザを有する外国人が日本人と離婚や死別し、引き続き日本に在留を希望する場合には在留資格について検討することを要します。この記事では子がいない方の配偶者ビザから定住者ビザへの変更について解説します。
この記事は行政書士西田直之が作成しました。
離婚・死別後も日本で暮らすためのビザ

配偶者ビザを有する外国人が結婚相手と離婚や死別し、再婚せずに引き続き日本で在留するためには在留資格の変更を要します。在留資格変更を検討する際は以下の事情を整理しながら検討します。
子はいますか?
元配偶者との間に生まれた子が居る場合に一定の要件を満たすことで定住者(告示定住6号)への変更が可能です。
就労や留学を検討
就職や会社経営の予定がある場合には「技術・人文知識・国際業務」や「経営管理」等への就労ビザへの変更を検討します。
定住者(告示外)への変更を検討
上記に該当しない際には定住者(告示外)への変更を検討します。
子がいない方の配偶者ビザから定住者への変更条件
子がいない方が取得できる定住者ビザはいわゆる「離婚定住」「死別定住」と呼ばれています。これら離婚・死別定住への変更には明確な条件が規定されていませんが、実務上、以下の条件があると考えられます。
- 日本において3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたこと
- 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
- 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
これらの条件をクリアしていれば許可がもらえるというわけでなく、申請人の状況ごとに審査をされます。
❶正常な婚姻関係・家庭生活とは
正常な婚姻関係・家庭生活とは通所の夫婦として家庭生活を営んでいたことを要し、原則は同居を要します。ただし、別居していた期間があったとしても夫婦として相互扶助や交流が継続していたことが認められれば条件を満たすと考えられます。
➌日常生活に不自由しない程度の日本語能力とは
日常生活に不自由しない程度の日本語能力とは、日本語の試験に合格していることまでは問われず、日常的に意思疎通が可能であれば足ります。
離婚・死別定住その他の留意点
配偶者に関する届出を14日以内を行っていない場合には配偶者ビザから定住者へ変更する際の審査に不利になります。たとえ14日を経過している場合であっても速やかに届出るようにしてください。
離婚定住の審査
離婚定住の場合、離婚に至った理由や事情も審査では重要となります。また結婚相手のDVや浮気等が原因である場合には審査に有利に働きますので、これらを立証する資料を提出します。
離婚に至った理由や経緯については理由書にて詳細を説明することとし、場合によっては審査中に出入国在留管理局より元配偶者へ直接聞き取り聴取されます。理由書に虚偽の内容を記載すると元配偶者の証言と矛盾が生じますので絶対にしてはいけません。
必要書類
離婚や死別し、引き続き日本に在留を希望する場合の定住者ビザへの変更する際の必要書類は以下です。
申請者の状況によって必要な書類が異なりますので、申請前に「外国人在留総合インフォメーションセンター」や「出入国在留管理局」へ問い合わせることを推奨します。弊所にご依頼の際は必要書類のご案内から申請まですべてサポートいたします。
書類 | 離婚定住 | 死別定住 | 備考 |
申請書 | |||
日本人の配偶者又は前配偶者の戸籍謄本 | |||
離婚届出受理証明書 | |||
死亡届出受理証明書 | |||
在職証明書 | 自営業の場合は確定申告書の写し | ||
預金通帳の写し | |||
雇用証明書・労働条件通知書 | |||
住民税の課税証明書・納税証明書 | |||
身元保証書 | |||
住民票 | 世帯全員記載有りのもの | ||
申請理由書 |
申請のポイント
子がいない方の配偶者ビザから定住者ビザへの変更は離婚に至った理由やその経緯が重要視されます。これらの事情は申請理由書に記載して提出することになります。したがって申請理由書は許可の判定に大きく影響しますので、事実を順序通りに書くことを要します。
申請のタイミング
配偶者ビザから定住者ビザへの変更は在留期間内であればいつ申請しても良いというわけではありません。たとえ在留期間の満了日まであと1年あったとしても、離婚・死別した場合には配偶者ビザの活動に該当しなくなり、6ヶ月以上経過すると在留資格取り消し対象となるからです。したがって離婚・死別後はできるだけ早く定住者へ変更することを推奨します。
離婚届を出していない場合
上述の離婚・死別定住の条件①の「日本において3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたこと」は必ずしも離婚の届出をし、離婚が成立していることまでは求められません。結婚は継続中であるが実体上は「結婚が破錠」している場合には条件をクリアします。