【配偶者ビザ】偽装結婚でないことの立証方法
この記事は行政書士西田直之が作成しました。
配偶者ビザと偽装結婚
配偶者ビザの取得についてはご夫婦の結婚が真実であること、いわゆる偽装結婚ではないことについて申請者自らが立証してはじめて許可がもらえます。本記事では偽装結婚ではないことの立証方法と偽装結婚と疑われやすい代表的な例について解説します。
審査の振り分け
出入国在留管理局は申請を受付けた場合は案件の状況によって(A)から(D)に振り分けされます。
(A)許可相当の案件
(B)慎重な審査を要する案件
(C)明らかに不許可相当の案件
(D)資料の追完了を要する案件
偽装結婚に疑義を持たれると(A)以外に振り分けられる可能性があり、審査期間が長引いたり、追加で資料提出を求められたりし、最悪の場合は不許可になります。
したがって偽装結婚が疑われるケースに当てはまるご夫婦が配偶者ビザの申請をする際には、できるだけ審査がスムーズに進むように積極的に偽装結婚の疑いを払拭する資料を提出することを要します。
配偶者ビザの審査では何を元に偽装結婚かどうかを判断している?
出入国在留管理局側は保有している過去の偽装結婚事案のデータから偽装結婚に多いケースを把握しており、申請内容した内容にも同様のケースがあると、厳しく審査が行われます。
配偶者ビザの審査は基本的には書面で行われます。審査官が提出資料を確認し、偽装結婚の疑いがある場合や、矛盾点がある場合には、その疑いを晴らす内容の提出資料が必要です。
また提出資料からの1つである「質問書」では申請人の交際経緯や家族についての質問対する回答を記入していきます。
質問書の記載内容によって偽装結婚に疑義が生じるかどうかの判断をされます。審査に不利になりそうな内容であっても絶対に嘘を書いてはいけません。
配偶者ビザを取得する際の在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請を申請する際の添付書類が出入国在留管理庁のサイトに公表されています。そこに必要書類として「質問書」が掲載されており、フォーマットをダウンロードすることができます。
参考:出入国在留管理庁
質問書内で偽装結婚の判断材料になる箇所
質問書の内容で偽装結婚の判断材料になる箇所について説明します。
同居者の有無
この箇所には同居者の氏名を記入します。外国人配偶者が既に日本にいる場合、原則は同居を求められ、同居していない場合には偽装結婚を疑われる可能性があります。
また家の大きさに対する同居者の人数が多い場合や、親族以外の方が同居者となっている場合には入管から疑念を抱かれる可能性があります。
自宅の間取り
質問書には自宅の「LDK」を記入する箇所があり、ワンルームなどの一人暮らし向けの住居の場合は「実際に同居するのか?」「偽装結婚だから同居しないのではないか?」といった疑義を抱かれる可能性があります。
もしワンルームで同居している場合は部屋の写真を提出し、ワンルームであっても同居が可能であることを明確にすることを要します。
結婚に至った経緯
結婚に至った経緯には「初めて知り合った時期」「場所」を記入し、結婚に至るまでの経緯を詳しく書くことを求められます。偽装結婚の場合には結婚に至るまでの期間が極端に短かったり、出会いのきっかけが不自然なことが多いため、結婚に至った経緯は偽装結婚かどうかを判断するのに非常に重要な項目です。
配偶者ビザの質問書には紹介者の有無とその紹介者の情報を詳細に書く欄があります。ここに記入した紹介者が過去に偽装結婚に関係していた人物であったり、偽装結婚を斡旋していたような組織であった場合には審査が厳しくなされます。
ですが、真実の結婚をされた皆様はここにはありのままを書くようにしてください。
別紙理由書に詳細を記入するのがベター
質問書には結婚に至った経緯についての記入欄が設けられていますが、ほとんどの場合、出会ってから結婚までの詳しい経緯を書くにはスペースが不足します。そこで別紙に「理由書」として用紙を準備して結婚に至った経緯を記入します。
夫婦間の会話で使われている言語について
夫婦間の会話で使われている言語については単に外国人が日本語を話せるかどうかを聞いているのではなく、夫婦が実際に意思疎通をすることができるのかを確認しています。意思の疎通ができないのに結婚に至ることは現実的に困難であるため、言葉での意思疎通が難しい場合には偽装結婚を疑われる可能性が高くなります。外国人が日本語を話すことができなくても日本人が外国人の母国語や、お互いが話せる言語での意思疎通ができていれば問題ありません。
言葉による意思の疎通ができないと判断されると不許可になる可能性が高まります。お互いに意思の疎通が容易でない場合は「どのように意思の疎通をし、結婚に至ったのか」を詳しく説明する必要があります。また、現在真剣に日本語を学習しており、日本語の学校に通っている場合は、通学していることがわかる資料を提出することも有効です。
知り合いに通訳として付き添ってもらった場合は、通訳者についても詳しく説明することを要します。
結婚式(披露宴)について
結婚式(披露宴)を行ったかどうかも偽装結婚の判断材料となります。ただ、結婚式(披露宴)を行わないご夫婦も多くおられますので、結婚式(披露宴)を行っていないからといって即座に審査に不利になるということはありません。

結婚歴について
結婚歴がある方で下記に該当する場合には離婚の理由を詳細に説明することを要します。
- 外国人側配偶者が日本人との離婚を1度だけでなく複数回繰り返している
- 日本人側配偶者が外国人との離婚を1度だけでなく複数回繰り返している
このような場合には偽装結婚を目的として離婚を繰り返していると疑念を抱かれる可能性があるので、離婚の原因や経緯を詳しく説明することを要します。
出入国在留管理庁のサイトに掲載されている配偶者ビザの必要書類には「離婚を証する資料」は記載されていませんが、追加提出を求められる場合があります。
お互いの国への渡航回数
男女が真面目にお付き合いして結婚に至るまでにはほとんどの場合お互いの国に渡航して交流を深めるのではないでしょうか。また両親への挨拶をする機会もあることでしょう。まったく渡航せずに、もしくは極端な例では1度の渡航で結婚に至ったケースでは偽装結婚を疑われる可能性があります。
渡航回数はパスポートのスタンプを確認しながら正確に記入することを要します。
親族で今回のご結婚を知っている方
男女が結婚する時多くの場合、ご両親やご家族に報告するかとおもいます。偽装結婚の場合には両親や家族への報告を行わないケースが多いことから、入管の審査も厳しくなります。
質問書記載事項以外で審査が厳しくなる事例
質問書に記載した内容以外にも偽装結婚に疑義を持たれる可能性がある事例について解説します。
年齢差が大きい
年齢差が大きい場合は偽装結婚の疑義を持たれる可能性があります。おおむね20歳差になると審査が非常に厳しくなります。
駆け込み結婚
すでに有しているビザの在留期間満了日の直前に配偶者ビザへの変更をすると、出国したくないから配偶者ビザ目的で結婚したのではないかと疑われる可能性があります。
中でも現在有しているビザの更新申請が不許可になった後に配偶者ビザへの変更をする場合は特に偽装結婚に疑義をもたれやすくなります。
交際中のスナップ写真やメッセージ履歴が無い
真面目に交際し、結婚に至った方のほどんどが交際中に撮影した写真をお持ちかと思います。しかし、写真を全く撮ってこなかった方や、携帯電話を買い替えた際に写真データがすべて無くなった方もおられます。
申請時にスナップ写真を提出しないと審査で偽装結婚に疑義を持たれ、写真を追加で求められます。どうしても交際中の写真が用意できない場合には新たに写真を撮影し提出したり、写真以外で交際中に会っていたことが立証できるような資料を用意します。
偽装結婚の疑義がある場合、申請書提出時にたくさんのスナップ写真を提出したとしても、追加でスナップ写真の提出を求められる場合があります。
申請から1カ月ほど経過し、そろそろ結果が出るかな?と考えている時に追加で写真を求められることもあります。この際に提出する写真は結果の決定に大きく影響しますので、審査官が要求する内容に沿った写真の提出を要します。
偽装結婚ではない事の立証方法
偽装結婚ではないことを立証するためには、基本的に「文章で説明」に加えて「記入内容を証明する資料」を提出します。これは文章だけでは信ぴょう性が薄いからです。
| 証明したい事情 | 立証資料 |
| 両親が結婚を知っている事 | 両親と夫婦が一緒に撮影した写真 ビデオ通話のスクリーンショット |
| 紹介者・通訳者がいた場合 | 紹介者・通釈者と夫婦が一緒に撮影した写真 |
| 結婚式を挙げた | 結婚式の写真 |
| 日本語ができる | 日本語能力検定の合格証の写し 卒業証明書(日本語を専攻していた場合) |
| ワンルームに住んでいる | お二人で生活できる空間があることがわかる自宅内の写真 |
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