在留資格高度専門職(高度人材ポイント制)とは
在留資格「高度専門職」
在留資格「高度専門職」とは高度の専門性、技術を持つ外国人材の中でも特に優秀な外国人材を受け入れるための在留資格です。
在留資格「高度専門職」に該当するには「高度人材ポイント制」のポイントを計算して一定の点数を満たす必要があります。
「高度専門職」を取得するには「技術・人文知識・国際業務」よりも「高度専門職」ハードルが高いですが、「高度専門職」で働く外国人は他の就労ビザに比べて多くの優遇措置を受けることができます。
高度専門職には「1号」と「2号」が存在する
在留資格「高度専門職」には「高度専門職1号」と「高度専門職2号」に区別されており、最初に「高度専門職1号」を取得し、3年以上働くことによって「高度専門職2号」に変更することができるようになります。
高度専門職1号は「イ」「ロ」「ハ」の3パターンが存在する
高度専門職1号は「イ」「ロ」「ハ」の3種類に区分されており、それぞれ活動内容が定められています。
高度専門職1号「イ」 高度学術研究活動 | 国内の公私の機関との契約で行う、研究、研究指導、教育活動 例:研究者、大学教授 |
高度専門職1号「ロ」 高度専門・技術活動 | 国内の公私の機関との契約で行う自然科学または人文科学の分野で知識や技術を必要とする業務 例:技術者・会社員・会計業務等 |
高度専門職1号「ハ」 高度経営・管理活動 | 国内の公私の機関での業務の経営、または管理に従事する活動 例:会社経営者、管理職等の在留資格「経営管理」に該当する業務 |
高度専門職1号は「外交」や「公用」以外の多くの技術・専門系ビザの活動内容が該当します。
高度専門職のメリット(優遇措置)
高度専門職で働く外国人は他の就労系資格には無い7つのメリットがあります。
1.複合的な活動を行うことができる
一般的な就労ビザではその在留資格で認められた範囲内の活動のみ行うことができますが、高度専門職は副業が可能になります。具体的には会社員をする傍らその関連事業を自ら経営することが可能になります。
高度専門職2号ではさらにその活動範囲が広がります。
2.高度専門1号で在留期間「5年」、高度専門2号で在留期間「無期限」となる
高度専門1号で在留期間「5年」、高度専門2号で在留期間「無期限」が一律で許可されます。
これによって在留期間更新許可申請をする労力を軽減することができ、安定的に就労することができるようになります。
3.永住権の要件が緩和される
永住権の許可には原則在留10年という要件がありますが、高度専門職で働く外国人はポイント数に応じて、「3年以上」や「1年以上」に緩和されます。
4.配偶者の就労条件が緩和される
高度専門職で働く外国人の配偶者が日本に在留する場合の在留資格は「家族滞在」「特定活動」「就労ビザを取得する」の3パターンが考えられますが、そのなかでも「特定活動」は学歴や職歴の有無に関係なく在留資格「研究」「教育」「技術」「人文知識・国際業務」または「興行(演劇等の活動以外の芸能活動)」に該当する活動をすることができます。
5.両親との同居が認められる
高度専門職で働く外国人とその配偶者は一定要件(妊娠、幼児の世話など)のもとで両親を日本に呼ぶことができます。
6.家事使用人の雇用が認められる
外国人の家事使用人の雇用は、「経営管理」「法律・会計業務」などの一部の在留資格にのみ認められていますが、高度専門職で働く外国人には一定の要件を満たすことによって家事使用人の帯同が認められます。
また家事使用人は3つの類型に区分されています。
類型1.入国帯同型 (外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合)
- 「高度専門職」で在留する者の世帯年収が1000円以上あること
- 帯同できる家事使用人は1名までであること
- 家事使用人が18歳以上であること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払う事を予定していること
- 帯同する家事使用人が日本入国前に1年以上当該「高度専門職」で在留する者に雇用されていた者であること
- 「高度専門職」で在留する者が日本から出国する場合、共に出国することが予定されていること
類型2.家庭事情型(入国帯同型以外の家事使用人を雇用する場合)
- 「高度専門職」で在留する者の世帯年収が1000円以上あること
- 帯同できる家事使用人は1名までであること
- 家事使用人が18歳以上であること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払う事を予定していること
- 家庭の事情(申請の時点において、13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有すること)が存在すること
類型3.金融人材型
- 雇用主である高度専門職外国人が、金融商品取引法第28条第2項に規定する第二種金融商品取引業、同条第3項に規定する投資助言・代理業又は同条第4項に規定する投資運用業に係る業務に従事していること
- 雇用主である高度専門職外国人の世帯年収(予定)に係る以下の区分に応じ、それぞれ次の要件に該当すること
- 1,000万円以上3,000万円未満 申請人以外に家事使用人を雇用していないこと。
- 3,000万円以上 申請人以外に家事使用人を雇用していない又は申請人以外に雇用している家事使用人の数が1名であること。
- 雇用主である高度専門職外国人が使用する言語により日常の会話を行うことができること
3.雇用主である高度専門職外国人が使用する言語により日常の会話を行うことができること
4.月額20万円以上の報酬を受けること
5.18歳以上であること
6.在留状況が良好であると認められること
7.入国・在留手続きが優先的に処理される
ビザの審査が優先的に処理されます。
例えば高度専門職で働く外国人の入国手続きは申請から10日以内、在留手続きは申請から5日以内に処理されます。
在留資格「高度専門職」で転職する場合の手続き
一般的な就労ビザでは同じ職種で転職する際に特に手続きは必要ありません(就労資格証明書を取っておいた方が良いケース有り)。ところが「高度専門職1号」で働く外国人は転職する場合に、たとえ同じ職種への転職であっても改めて「高度専門職1号」への在留資格変更許可申請が必要となります。
1度ご自身の高度人材ポイントの計算をしてみることをお勧めします
高度専門職(高度人材ポイント制)は、外国人と企業双方にメリットが多い在留資格ですが、制度自体は新しいため、知名度は高くないこともあって、高度人材ポイント制を活用できるにもかかわらず、他の就労ビザを申請されるケースが少なくありません。
しかし、日本の有名大学を卒業されて日本語の会話レベルも問題無い方であれば高度人材ポイントの点数を満たしている場合が意外と多いです。
高度人材ポイント簡易チェックリスト
高度人材ポイント計算をする前にこの簡易チェックリストで確認してみて、7つ以上の項目に該当する場合には高度人材ポイント制を活用できる可能性が高いと言えますので、出入国在留管理局の高度人材ポイント計算表で確認されることをお勧めします。
□日本の大学や大学院を卒業している
□スーパーグローバル大学創生事業や国際的に高い評価を受けている海外の大学等を卒業している
□実務経験が3年以上
□400万円以上の年収が見込まれている
□40歳未満である
□仕事に関連する日本の国家資格等を取得している
□日本語能力試験のレベルがN1またはN2である
□開発者として特許を受けた等の研究実績がある
□日本政府の各省庁が関与する成長分野の先端プロジェクトに従事する
□就職先の企業がイノベーション促進支援措置を受け、かつ中小企業基本法に規定する中小企業者である