永住者の配偶者ビザの注意点【中国人同士の結婚編】

この記事は行政書士西田直之が作成しました。

本記事では中国人同士が結婚し、日本で暮らす為の永住者の配偶者ビザの申請をする際の注意点を解説します。

目次

永住者の配偶者ビザとは

日本の永住権(在留資格永住者)を有する外国人と結婚した外国人は在留資格「永住者の配偶者等」(以下永住者の配偶者ビザ)を取得する事ができます。

永住者の配偶者ビザは永住者と結婚すると取得することができますが、結婚の成立以外にも厳しい審査があります。

永住者の配偶者ビザ許可の主要条件

  • 法律上の結婚が成立していること
  • 実態を伴った結婚であること
  • 結婚生活を営むための経済的基盤があること
  • 素行に問題がないこと

法律上の結婚が成立していること

内縁関係のような事実婚ではなく、中国の婚姻要件を満たしており法律上の結婚が成立していることを要します。そして永住者の配偶者ビザを申請する際には結婚が成立していることを立証する為に「結婚証明書」の提出を要します。中国人の場合は「結婚証」が結婚証明書となります。

実態を伴った結婚であること

法律上の結婚が成立していたとしても実体上の夫婦関係が無い場合には永住者の配偶者ビザの許可をもらうことはできません。例えば、やむを得ない事情なく別居しているような場合は実体上の夫婦関係が無いと判断される可能性があります。

実体上の夫婦関係の有無に疑義を抱かれる場合の例
  • 別居している
  • 交際期間が短い
  • 会った回数が少ない
  • 親族が結婚のことを知らない
  • 一緒に写った写真が無い
  • 微信等のSNS記録が無い
  • 悪質な仲介業者を介した出会い
  • 年齢差が大きい

このような事情がある方は真実の結婚であることを詳細に説明することを要します。

結婚生活を営むための経済的基盤があること

日本で暮らすことができるだけの経費支弁能力を有することを必要とします。一般的には正社員等でフルタイムで働いている場合は審査が通りやすいです。夫婦のどちらか一方の収入のみで生計を立てることができる場合には共働きである必要はありません。

素行に問題がないこと

過去に犯罪歴があったり、日本での在留状況に問題がある場合には審査にマイナスに働きます。

短期滞在で来日した場合は要注意

短期滞在ビザで来日し日本で結婚手続きを行おうとする場合、短期滞在で来日した中国人は日本の中国大使・領事館で結婚手続きをすることができません。婚姻の届出は日本の市区町村役場で婚姻届けを提出することができますが、ここで次の問題が生じます。

  • 中国の結婚証が発行されない
  • 在留資格「永住者の配偶者等」の申請には結婚証明書が必要

中国の結婚証が発行されない

中国人同士が日本の市区町村役場で結婚の届出(日本方式)をした場合、中国の法律に反しない限り中国においても結婚が成立します。したがって中国側での結婚手続きを改めてすることができず、結婚証(小红书)の発行がされません。

在留資格「永住者の配偶者等」の申請には結婚証明書が必要

永住者の配偶者ビザの申請で必要になるのが「中国の結婚証明書」です。中国人同士が日本方式で結婚した場合には中国の結婚証が発行されないため、永住者の配偶者ビザの申請難易度があがります。

このようなケースでは中国の結婚証明書が提出できない理由の説明を出入国在留管理局より求められる可能性があります。また理由を説明したとしても「なぜ中国先行で結婚手続きをしなかった?」「重婚なのでは?」と疑義をもたれるかもしれません。

短期滞在から永住者の配偶者ビザに変更

中国人同士の結婚で、短期滞在で来日した方が出国せずに永住者の配偶者ビザへの変更をする場合には更に難易度が高くなります。短期滞在からの在留資格変更は原則することができません。永住者の配偶者ビザのような身分系ビザでは人道的な観点から結婚が成立している場合にはやむを得ない事情があるものとして、短期滞在からの変更が認められることがあります。ただし結婚が適法に成立していてはじめてこのような取り扱いが認められます。

短期滞在で来日し、日本方式で結婚した場合には中国の結婚証明書を提出することが困難になります。入国管理局側も適法に結婚が成立しているかどうか確認することができないため、永住者の配偶者ビザへの変更の受理の判断がかなり慎重になされます。したがって中国人同士が結婚する場合に短期滞在で来日した場合はできるだけ変更申請を行わないことを推奨しております。

短期滞在からの変更にはやむを得ない理由を要します

短期滞在から永住者の配偶者ビザへの変更を出入国在留管理局へ提出する際には、やむを得ない理由の説明を求められます。(弊所が受任した場合は事前に理由書を用意して提出します)

やむを得ない理由について

短期滞在で在留中に日本で結婚が成立した際には「やむを得ない理由」として認めてもらえる可能性がありますが、これはあくまでも法律上の結婚が明らかに成立している場合の取り扱いです。日本の市区町村役場で中国人同士が結婚した場合には、中国側でも適法に結婚が成立するとった明文規定が無いため入国管理局側も慎重に対応せざるを得ません。したがって「やむを得ない理由」の有無についても厳しく審査がなされます。

やむを得ない理由とは認められない例
  • 一度出国して再び来日する時間を節約したい
  • 一度出国して再び来日する費用を節約したい

上記のような理由で弊所が実際に出入国在留管理局へ提出した際は認めてもらうことができませんでした。

中国籍の方が短期滞在で来日する際にはビザ免除ではなく、在中国大使・領事館への査証発給申請を行って来日されています。査証発給申請の際は日本入国から出国までの日程や帰国費用を支出できるだけの資産を立証する資料を提出してはじめて短期滞在ビザが発給されているはずです。

にもかかわらず永住者の配偶者ビザへ変更する際に上記のような理由を提出すると、「短期滞在ビザ発給申請は虚偽申請?」といった疑念を抱かれることになります。ですので可能であれば一度出国し、在留資格認定証明書交付申請を行い改めて来日することを推奨します。

永住者の配偶者ビザの申請はおまかせください

弊所においても短期滞在から永住者の配偶者ビザへの変更の申請取次させていただき、出入国在留管理局に受付して頂いたことはございます。

その際に重要になるのが理由書の内容です。中国に一旦帰国することができない事情を審査官に認めていただけるような内容を記載することを要し、その内容によっては「短期滞在ビザの申請自体が虚偽だった?」と更に疑義が深まる原因にもなりかねません。

永住者の配偶者等を申請される際にご不安がある場合は弊所にご相談ください。短期滞在からの変更等にも過去の経験より適切に手続きをすすめることができるようにサポートいたします。

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